怠惰の先
大学生の頃、本当に怠惰な生活をしていて、当時バンドマンだった私は、ライブのない日はほとんど昼間は寝ていて、夜は明け方まで何をするでもなく起きているという、昼夜逆転した生活をしていました。
大学にもほとんど行かず、人間ってこんなにもダメな生活ができるものかというくらい、ひどい暮らし方をしていました。そして今でも覚えている些細なことが事があります。
ライブが二週間ほど空いた時期がありました。
お風呂にも一週間ほど入っていなくて、考えてみれば人にも10日ほど会っていません。
お金もあまりなくて、何処にも出かけず毎日お米とキャベツとマヨネーズを食べていました。
ふと考えて見ると10日ほど声を出したことがないような気がしてきました。
あれ 声、出るんかなあ。と思い、ついやってみました
「あーー」。
私のアパートの中を弱々しい声が響きました。
久しぶりに聞いた自分の声は、耳が詰まったように、こもって聞こえましたが、声が出たことは確かでした。
なんでもないことですが、声が出ることを試してみるとは、ひどい生活の先にある究極の行動だと、ふと我に返りました。
それ以後、それほど改心したわけではありませんが、このような経験はこの時一度きりでした。
じゃべることを、しなさすぎて、声が出るか試して見た人はそんなにいないと思います。
(実は私以外にもう一人同じ経験をしている人を知っていますが)
ひどい話ですね
みなさん真似しないでね