昔フォークやってました顔
「昔フォークやってました顔」というものが世の中に存在するように思います。街角を歩いていても、私にはなんとなく見分けられます。(まさに私がそうだから)
その特徴は、男性なら髪型とかちょっとした表情でかなりの確率で識別でき、時代が変わっても捨てきれない何かを少しだけ残している人の中に見られます。
フォークといえば吉田拓郎を筆頭にかぐや姫・井上陽水などが一世を風靡し、日本の音楽シーンに一時代を築き上げました。その影響は音楽だけでなく、当時は男性の多くが髪の毛を長く伸ばして、若いのに老成して意味ありげな表情でタバコを吹かし時代の最先端に君臨していました。私も御多分に洩れずそういう歳上の人達を見て心底カッコいいと憧れて、ヤングギターという雑誌を毎月買って真似をしていました。
時は流れていつの間にかそんなフォークの人たちはどこかへ行ってしまい、今ではカッコ悪い人の象徴のように成り下がってしまいました。そして私の心の中でも、その頃の文化を否定せざるを得ない時代になってしまいました。
しかしあれだけカッコいいと思い強く影響を受けたカルチャーが頭や体の中に残っていない訳がありません。それはカッコわるいけれど、どんなに隠してみてもどうしても滲み出してくるものであり、私たちが
「昔フォークやってました顔」
になっても仕方がない事だと思います。
影響を受けたものが根こそぎ時代に否定されていくことは世の常ですが、とても悲しい現実です。若い人には到底理解してもらえませんが、彼らもまた60歳くらいになったら
「昔ラップやってました顔」とかになって
同じ思いをするのでしょうか。