散髪屋さん、おまかせします。
散髪屋さんで、「ここを切りすぎないで」といくら言ってもいつも同じように短くされてしまうという経験はないでしょうか?
これだけ毎回言ってもどうして聞いてくれないんだろうと不満を持ったりします。しかし、私たちは、ほとんどの場合、自分の頭の形の全体を見ることなく、鏡を通して正面からしか見ていません。
サイドや後ろのバランスは実際にはよく分かっていません。
美容のプロからすれば、多少感覚の新しい、古いはあるかもしれませんが、きっとベストのバランスでカットしているはずです。
デザインの現場でも例外に漏れず、このように不満を持たれる方は沢山いらっしゃいます。制作してもらう側としては、本当に自分が思う様になっているかどうか、心配でなりません。
しかし、これは散髪屋と同じ事が言えます。やはり素人の方はデザインの視野が狭く、多くの選択肢から瞬時に判断することは出来ません。ここを大きくとか、ここをもう少し上にとか言われると、やはり考え尽くしてやっとたどり着いたデザインのバランスは一気に崩れてしまいます。
もちろんその説明はしますが、中にはどうしても意思を曲げられないで、最終的にはお金を出してるのは自分だから、好きなようにさせてくださいと強引な方もいらっしゃいます。
古くから言われている言葉で「餅は餅屋」と言う言葉があります。しかし、私たちは暮らしの中で、これがなかなか実行できていません。
商売として、成り立っている方は、散髪屋さんでも、お魚屋さんでも、大工さんでも、すべて専門家です。当然ながら、私たちが知っていることの何万倍も知識も技術もあります。大切なのは、信頼すること。疑って意見を入れることが、良い結果にたどり着くことは少ないと思います。
いままで制作させて頂いたもののなかで振り返ってみると、今でもいいなと思って見られるのは、お客様がこちらを信頼してくださって自由にやらせて頂いたものばかりです。すべてのコントロールができ、そんな中で新しいアイデアも湧いてきます。トータルに把握出来るので、想定外のヒューマンエラーも少なくなります。
散髪屋さん、おまかせします。といえる自分になりたいと思います。