猫の癖
大阪で暮らしている頃のお話です
私は小さなアパートで猫と暮らしていました。
このアパートと大家さんも、猫を飼うことを黙認してくれていて、奇妙な夜型生活を送っていました。
この部屋には西日が鋭く入ってくる窓があり、毎日、西日で目を覚ましていました。
猫はいつ頃からか、その窓からひょいと隣の家の屋根に飛び移り、ちょくちょく外出をするようになりました
部屋の中にずっといては、猫もストレスが溜まるだろうと思い、防犯上も特に問題なさそうだったので、私が外出をする時でも、少し窓を開けておいてやるのが日常になっておりました。
そんなある日 猫がいつものように「スタッ」と音を立てて窓辺へ戻ってきました。そしてどこかしらいつもと違う様子なので、目を向けてみると可愛いい口に、大きなスリッパを片方加えているではありませんか
どこからくわえて帰ってきたのか全くわかりませんので、返しに行くすべがなく、しばらくそのスリッパは私のアパートに転がっていましたが、そのうち処分しました。
それからしばらくして、又いつものよういつもの猫が「スタッ」と音を立てて窓辺へ戻ってきました。またいつもと違う様子があったので目を向けてみると、こんどは大きなセーターを可愛い小さな口にくわえて、帰ってきてるではありませんか。
(今から思うと、セーターのような、ワラワラしたものを、よく引っ掛けもせずにくわえて持って帰ることができたと思います。)
さすがにこれには困りましたが、前回同様、返しに行くすべがありません。
よく見ると女性用のセーターで、結構新しい物のようでした。
こんなところを変なふうに見つかったら、泥棒か変質者になってしまいます。
それでもどうしようもなく、そのセータはしばらく私のアパートにありましたが、数日後に処分しました。
それ以来この猫が、物をくわえて帰ってくることはなくなり、ひと安心でしたが、
スリッパやセーターの持ち主さんきっと困っておられたでしょうね。無くなったのはウチの猫のせいでした。
「ごめんなさい」です。