ロゴデザイン工房 ロゴ太郎

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ロゴノココロエ

変な記憶

2017.06.15 :


 今から思うと 「あれはいったいなんだったんだろうか」と思う事があります。

 あれは大学三回生の頃だったと思います。当時学業に全く身が入らず、バンド活動ばかりを一生懸命やっており、私は仲間と、ときどきコンサートをやったり発表会をやったりという毎日を送っていました。

 音楽仲間が集まる喫茶店が大学の近くにあり、その店のママさんは、私たちが店内でギターを弾いても黙って見てくれているような優しい人でした。ある日、その喫茶店が突然店をたたむという話を聞かされ、私たちは大変ショックでしたが、受け入れるしかありませんでした。

 お店の最後の日、ママさんは私たちの音楽仲間をみんな集めて、大阪ミナミへ連れて行ってくれました。全部ママさん持ちです。さすがに水商売の世界に生きてこられた人だけに、ミナミにも知り合いが多く、高級なバーやクラブなどを大勢ではしごしました。見たこともない豪華な生バンドの店や、不思議な雰囲気の店など、私たち貧乏学生には始めて見るものばかりで、驚きの連続でした。

 夜も更けて午前四時頃になり、気がついてみるとたくさんいたメンバーも私を入れて3人になっていました。
 ママさんが、「あそこなら開けているかも」と最後に連れていってもらった所が、今思い出してみても不思議なところなのです。狭い路地の奥に、そこだけ時代に取り残されたような古びた小さな料亭でした。

 私たちは静かに中に案内され、畳の間で座って待っていると、奥の襖がゆっくりあいて、ほんとに小さな着物姿の白いおばあさんがでてきました。

静かに品よく、深々と頭を下げて

「いらっしゃいませ」

 明け方で遊び疲れて頭がぼんやりしていたせいもありますが、おばあさんとの距離感がうまくつかめません。
おばあさんが、とても遠くに座っているのか、あるいは猫ぐらいの大きさなのか目に見えているものがよく理解できません。

 私たちは夜明けの妖精を見るように、小さくて、弱々しくて、少し透明で向こうが透けて見えるようなおばあさんをだまってしばらく見ていました

 その後、とても小さな食べ物を、お箸で摘んで食べたような記憶があります。

 そこからのことはあまりよく覚えていませんが、酔いも冷めて、きっとクタクタに疲れて始発の近鉄電車に乗って帰ったのだと思います。

 今から思うとあれはいったい何処だったのだろうか?

 都会の真ん中にあんな所が本当にあったのだろうか?

 夜明けにおばあさんが本当に働いていたのだろうか?

 おばあさんは猫くらいの大きさだったのだろうか?

 今となっては何が本当のことだったのかどうかよくわかりません。

 今でも記憶に残っていて思い出すと、不思議な気持ちになります。

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